2021年10月から漫画「ヤンキー君と白杖ガール」を原作としたドラマが始まりました。
弱視の視覚障害者を題材にした作品ということで、私たちもドラマを見はじめましたが、With Blind全員がハマりました!
私たちのコンセプトである「みえても・みえなくても」に通ずる面白い作品でもあります。
そこで、これから見ようと持っている人でも面白さが理解できるよう、With Blind的視点で、おすすめのポイントや見どころを紹介します。
「ヤンキー君と白杖ガール」について
作者は「うおやま」さんで、ドラマの原作は4コマ漫画です。
顔に傷のあるヤンキーの青年と弱視で白杖を持つ女子高生という一般的には相入れない2人が中心となって繰り広げられるストーリー。
そんな二人の恋愛物語をコミカルに描きながら、視覚障害に関連する社会問題にも言及しているとても馴染みやすい作品です。
恋愛という全員が馴染みやすいストーリーの中に、視覚障害女性が感じる違和感や悩みなどを織り交ぜて、多くの人の興味や関心をひく工夫が盛り込まれている作品です。
私たちは原作を読んだことはなく、杉咲花さんが主演のTVドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』で作品を見始めました。
まだ2話までしか放映されていませんが、有名な俳優さんも多く、普通のTVドラマとしても楽しめる作品!
花ちゃんもすごくかわいいし、ヤンキー軍団のコメディ感もクスッとする♪
最近人気の俳優さん達も多く出演してるよね!
障害もテーマだけど、それ以外の要素もあるから楽しいよね。
芸人の濱田さんの視覚障害者のプチ情報紹介が俺は好き〜
そんな「ヤンキー君と白杖ガール」について、おすすめポイントや見どころを紹介していきます!
視覚障害に関する情報を気軽に学べる
ドラマには、身近に視覚障害者がいないと知らないであろうことが散りばめられていて、要所要所のストーリーの中で面白く紹介されています。
各所でわかりやすい説明があって、好感を持てました。
2話までで出た視覚障害者特有の代表的な情報をこちらの記事でも紹介します。
視覚障害者が持つ白い杖「白杖(はくじょう)」
作品のタイトルにも入っており、視覚障害者の歩行をサポートする上で重要な白杖。
「はくじょう」と読みますが、名称を知らなかった方や読み方に自信がなかった方も多いのでは?
主人公は弱視という、光がぼんやり見えるという症状で白杖を持っています。
With Blindの視覚障害者のよーすけは弱視よりも見えづらい全盲になりますが、同じく白杖を利用します。
白杖を持っている人=全盲と思っている人もいるみたいだけど、そうじゃないんだ。
それを知ってもらうきっかけになってくれると嬉しいな。
白杖について、当事者が紹介する記事はこちら。
黄色の凹凸ブロック「点字ブロック」
作中でも点字ブロックの上でたむろするヤンキー達に困って声をかけるシーンから始まりますね。
白杖と同じく、視覚障害者の歩行を補助するツール「点字ブロック」。
普段の生活の中に染み込んでいますが、詳細までは知らない方もいるのでは?
点状のブロックは警告や入り口を示すサイン、線状のブロックは道順を示すサインとなっています。
点字ブロックについてもこちらの記事で詳細を紹介してますので、ぜひ見てください。
視覚障害者が映画を楽しむための「音声ガイド」
視覚障害者が映画を楽しむための手段として「音声ガイド」があります。
「音声ガイド」とは作品中の視覚情報を音声でガイドするものです。
この音声ガイドがあることで、見えにくい人や見えない人でも健常者に近いレベルで視覚的描写も含めて、ストーリー全体を理解することができます。
音声ガイドを利用するためにはスマホの専用アプリ(利用は無料)が必要です。
アプリがあれば、見える人に近いレベルで映画を楽しむことができるので、視覚障害者にとって、大変有益で欠かせないツールといえます。
俺も映画は大好きでよく見るけど、音声ガイドがあると見える人と一緒に楽しむことができて本当に助かってる!
2020年に公開された「えんとつ町のプペル」を見た時に感じたことをこちらの記事で紹介しています。
アプリの詳細についても紹介しています!
「見える」側と「見えない」側の両方の視点が描かれている
作品の特徴として、「見える」側と「見えない」側の両方の視点が描かれているのも興味深いポイントです。
With Blindとしてこのドラマを万人におすすめする最大の理由がこれです!
視覚障害者を主役としたストーリーでは、どうしても一方の視点に偏る傾向があります。
このドラマは、双方の視点の気持ちがあることで、両者の共感が得られるストーリーになっています。
「見える」側の視点
2話までで描かれている「見える」側の視点は下記のようなものです。
主人公の姉は弱視の妹を心配するあまり、ある種、過保護的に世話や心配をしてしまいます。
もちろん妹を大切に思うあまりの行動ですが、どこまでが本人のためなのか、周りにも一部指摘されているシーンがありました。
また白状ガールに想いを寄せるヤンキーも、見えづらい世界がどのようなものかわからない故に、白杖ガールを傷つけてしまうシーンもありました。
「寄り添いたい、助けたいという気持ちはあるけど、どのように接すればいいかわからない」という見える側の気持ちがよく表現されていると思います。
このような話は、視覚障害者の子を持つ親の話などでも耳にしますね。
「見えない」側の視点
一方、主人公の「見えない」側の視点も心の声も含めてよく描かれています。
白杖を持つことで、これまで「普通の世界」で生きてきた私が周囲から仲間はずれにされてしまうのではないかという強い不安から昔は白杖が持ちたくなかった白杖ガール。
そんな白杖ガールですが、大切な友人の事故をきっかけに白杖を持つことを決意します。
このような当事者の葛藤は、周りの目を気にする当事者の気持ちや、本人が障害を受け入れることの難しさをよく著していると思います。
また、ヤンキーに「普通の世界に住んでいる」と言われ、ハッとする白杖ガール。
白杖を持つことで「普通の世界」の一員と認識されていないのではと感じていたためか、他人から「普通の世界」に生きる一員だと認められたことで驚いた白杖ガール。
この場面は、見えない・見えにくい当事者からするととても共感できる部分ではないでしょうか。
視覚障害の問題提起もしている!
恋愛をメインで描きつつ、視覚障害にまつわる社会課題についてもしっかりと描いている「ヤンキー君と白杖ガール」。
代表的なこと以外でも細かな描写からも見て取れる、様々な課題を紹介します。
軽視されがちな点字ブロック
作中では、点字ブロックの上に自転車が放置されていて、行きたい方向に行けないことが描かれていました。
実際、点字ブロックの上には、自転車だけでなく、店の看板や、立ち止まってスマホに夢中になっている人、立ち話をしている人など、様々な障害があります。
無意識に視覚障害者の歩行の障壁を作ってしまっていることを、見える側は気をつけなければいけません。
数年前、点字ブロックの上を歩く視覚障害者に対し、「邪魔だ!」と言って、突き飛ばした40代男性がいたという悲しい事件がありました。
しかし、近くにいた女子高生に「点字ブロックの意味を知らないんですか!?邪魔なのはあなたです」と注意されその男性は逃げていったそうですが、まだこういった意識の方がいるのは非常に残念なことです。
本当にこの女子高生の勇気はすごい!
点字ブロックの意味を理解している人は周りに知らない人がいたらちゃんと言えるようにしたいね。
音声ガイドがある映画とない映画
白杖ガールのお気に入りの映画のシリーズでシーズン1だけが音声ガイドがないために、楽しむことができないことが描かれています。
作中ではヤンキー君が音声ガイドの代わりをやるなど、ヤンキー君の優しさが見えるポジティブな場面となっていますが、実は大切な課題。
音声ガイドのほとんどは「ボランティア」で成り立っているため、全ての映画で用意があるものではありません。
音声ガイドがあることも映画のスタンダードになるとよいのですが・・・。
音声ガイドがどの映画にもあって、一緒に映画を楽しむことができる世界がくると、多くの視覚障害者や周りの方も喜ぶと思います!
メニュー表記
映画館のメニューが書かれているのみだと、視覚障害者はどんなメニューがあるのかわかりません。
白状ガールは違うものを頼みたいという気持ちがあるものの、どこでも置いてあるメニューを頼むようでしたが、誰だってちゃんとメニューを知った上で注文したいですよね。
作中ではヤンキー君がメニューを読み上げて、白杖ガールがメニューを知ることができる場面が描かれています。
点字や拡大文字のメニューが用意されていることや、自然と周囲のお客さんや店員さんがサポートしてくれるなどの世の中であれば、、視覚障害者も同じようにメニューを選ぶことができますね。
With Blind的!作品の見どころ!
私たちWith Blindは視覚障害者のよーすけがメンバーにいることで、視覚障害者を身近に感じていますが、そんな私たちから見る独自!?の見どころを紹介します!
目線も練習してる!?演技力の高さ!
主人公の杉咲花さんが演じる白杖ガールの友人として登場する田辺桃子さんと細田佳央太さん。
この二人も同じ盲学校に通っていますが、この二人(特に田辺さん!)の視覚障害者の目線の演技が非常にうまいです。
演技では実際には見えているのでどうしても、目線が見えている人と近くなってしまいがちですが、この二人の目線が、視覚障害者の方に近い気がします。
2話目までだとそこまで登場シーンが多いわけではないのですが、今後よりピックアップされることを楽しみにしています。
ただし、この視点は視覚障害者の中でも賛否があります。
目線を合わせて対応する視覚障害者もいるということは知っていただいた上で、この作品の演技を楽しんでいただければ幸いです。
画像:https://www.ntv.co.jp/yangaru/chart/
配慮はするが、遠慮はしないがコミュニケーションの肝!?
作品中に視覚障害者とのコミュニケーションの課題がピックアップされることがあります。
非常に重要なテーマだと思っていますが、私たちWith Blindとしては「配慮はするが、遠慮はしない」ことが大事なのでは?と思っています。
作中でも白状ガールをある意味、特別扱いしないヤンキー君の言葉に白杖ガールが驚き、喜ぶようなシーンもあります。
見えないということに一定の配慮は必要ですが、それ以上は他の人と同じ。
それがお互いに気持ちの良い関係が築けるポイントなのではとWith Blindは思っており、こちらの記事でも紹介しています。
まとめ
様々な視点で「ヤンキー君と白杖ガール」の見どころを紹介してきました。
この作品は私たちのコンセプトである「みえても・みえなくても」を非常にポップに表現していて、視覚障害に関しての大切なことを描いています。
周りに視覚障害者がいる人や当事者の方だけでなく、多くの人に見てもらいたい作品なので、ぜひ見てみてくださいね♪
原作が見れていないので、私たちも見てみようと思います!