視覚障害者の仕事をテーマにしたブログ第二弾。
今回は、視覚障害者のよーすけが経験した大学時代の就職活動について、具体的に実施した事例を元に紹介します。
視覚障害者の就職活動での課題
(友人)
大学時代、お互いに就活の相談はしてたけど、よーすけは成績はよかったけど、大変そうだったよね。
実際にどんなことが大変だったか教えてくれる?
就職活動で一番苦労したのは、「視覚障害者もパソコンを使って通常の業務はできますよ」ってことを企業の担当者に想像してもらうことだね。
前回の記事では視覚障害者の方が仕事をする上で利用するシステムや工夫ポイントを紹介しました。
そんなよーすけが実際の仕事に就く前の就職活動での話。
昔は(?)そこそこ優秀だったよーすけですが、就職活動はやはり苦労したようです。
企業の人事担当者も、身近に視覚障害者がいる方ばかりではないと思うので、どんな仕事ができるかを想像するのは難しかったかもしれません。。
さらに学生ということで職務経歴があるわけでもないので、企業にとっても何を見ていいかわからなかったのかもしれません。新卒の健常者と条件は一緒だとは思うのですが・・・。。
そこでよーすけが実施した就職活動を始める前の準備について、まずは紹介します。
就活までの準備!在学中にインターンシップにチャレンジ!
就職活動では絶対に普通の人より苦労すると思ってたから、学生時代に働いた実績を作っておこうと思ったんだ。
それと、社会人になった時の働き方についても考えたかったから、こんな思いを受け入れてくれるインターンシップ先を探したよ。
そうしたら「株式会社ワーク・ライフバランス」で採用してもらえたんだ。
(友人妻)
働き方改革のコンサルティングをしている会社だよね。
社長の小室さんは、テレビや新聞でもよく目にするなぁ。
私も講演を聞いたことがあるよー!
株式会社ワーク・ライフバランス
自社の労働環境を試行錯誤しながら改革した経験、ワーク・ライフバランスに対する柔軟かつ確実なノウハウ、心理的安全性を高める独自の手法、代表・小室淑恵をはじめとする各コンサルタントの高いスキルによって、これまでに1,000社以上の働き方改革を成功に導いています。
公式HP:https://work-life-b.co.jp/company/
よーすけは株式会社ワーク・ライフバランスに大学2年の時に採用され、インターンシップをしていました。
当時を振り返って、社員さん達もみなさん熱心で、本当に様々なことを学ぶことができたそうです。
実際の就職活動でうまくいったのはこのインターンシップの経験が大きく影響したからと感謝を感じているそうです。
インターンシップで少し経験を積み、いざ!就職活動へ!!
見える人と同じようにやってもどうしても不利なよーすけは、独自の工夫をすることで、企業にアピールしようとしました。
就職活動で実際にやってみた工夫
(妻)
インターンの経験できてよかったね!
最初に言ってたけど、実際の就活ではどうやって企業の担当者に視覚障害者の仕事の様子を想像してもらったの?
自分が働くことをイメージしてもらう資料を作って履歴書と一緒に渡したんだ。
具体的には、”こんな工夫や機器があれば業務ができます”とか、エクセルやワードなど”社内イントラも使えます”という話を、シチュエーション別にわかりやすくまとめて書いたんだよ。
視覚障害者用の機器は高額だけど、購入費の一部を国が負担してくれる仕組みもあるから、大きな負担にはならないんですよっていう話も書いたかな。
助成金の仕組みもあり、障害者雇用については国も推進してくれています。
事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。
参照:https://www.jeed.or.jp/disability/subsidy/index.html
さらに具体的な働くシチュエーションを企業に提示することで、働けることをイメージしてもらうために資料も作成。
しかし・・・
残念ながら、提出した会社の中で返事をくれた会社はあまりなかったかな・・・
やっぱり履歴書とかに「全盲」って書いてあると、それだけでダメになることもあったように思う。勝手な想像だけどね。
だってさ、同条件で見える人と見えない人がいたら、まだまだ、見える人を採用するのは当たり前だよね~。
(友人)
ダイバーシティとかインクルージョンっていう考え方が浸透していないと、そうなっちゃうかもしれないねー。
でも経歴に興味は持たれそうだけどな、よーすけの場合は。
ダイバーシティやインクルージョンとは簡単に言うと、
「多様性のある人がお互いに尊重しあいながら活躍することが、真の企業の成長に繋がる」
という考え方です。
今の世の中は、顧客ニーズも多様化しています。
単一な職場がそんな多様な顧客ニーズを想像しようとしても、難しいですよね。
様々な環境や背景を持った人が職場にいることで、より良いアイディアが生まれたり、職場全体が働きやすくなる、と私たちは思っています。
就活中での運命企業との出会い〜最後の決め手〜
履歴書にはなるべく興味を持ってもらうように、経歴に1年間の留学経験や、TOEICのスコア、インターンシップでの経験を書いてみたよ。
それでも、数百社にエントリーしてそのうちの数社ぐらいにしか興味をもってもらえなかったかなー。
いわゆる就活に有利になる経歴をよーすけも持っていましたが、興味をもってくれる企業は多くありませんでした。
その中でも採用担当者が熱心なところはいくつかあり、相談を聞いてくれたり、面接をしてくれたりする会社はありました。
親切にアドバイスくれる方もいて、誰かは見てくれてる、応援してくれているということをこの時に実感したのを覚えています。
同時期、就活に苦戦しながらも貴重な経験をしたよーすけにある出来事が起きました。
偶然にも卒論で話を聞きに行った保険会社の担当の方が「うち受けてみない?」って誘ってくれました!
正直、金融や保険などには興味がありませんでした・・・
しかし、その方たちは自分が作ったつたない資料も熱心に読んでくれ、視覚障害者についても勉強されてた方が多かったのです。
その会社の全盲の方の採用履歴としてはグループ会社ではありましたが、その会社としては初めての試みだったようです。
その方たちとの面接は心から楽しめ、とても良い人たちと巡り合えたと感じました。
これまでの面接だと、障害の話を聞かれたり、普段はどのようにして大学で授業を受けてるの?などが中心だったんだけど、この会社は、人物を確認するための話が中心だったんだ。
健常者にとっては当たり前なのかもしれないけど、自分にとってはすごく新鮮だった記憶がある。
本当に自分のことを見てもらえてるんだなって思えてさ。
だからこの会社に決めたんだ。
大切なのは「お互いに気持ちよく働けそうか」を確認すること
(友人)
なるほど。よーすけの話を聞いて、最終的には人柄ってことがわかるね!
よーすけの場合は、確かに障害が障壁になったのかもしれないけれど、実際にそう言って断られたわけではないから、結局その事実はわからないし。
(友人妻)
確かに。
障害者に対する業務支援とかも重要な要素かもしれないけど、最後はお互いに働いてもらいたいという気持ちと働きたいっていう気持ちを感じられるか、なんだね!
だって、支援が今はまだ十分じゃなくても、お互いにその気持ちがあればいくらでも改善していけるわけだし・・・
面接ではそれを確認するのが重要だってことがわかったよ!
就職活動での苦労は感じながらも、互いの人間性を理解し、信頼関係を作れたからこそ良い職場にも出会えたよーすけ。
苦労に対する工夫は、見える人でもぜひ参考にしていただければ幸いです。
”障害があるからできない”ではなく、その人自身と対話し、理解することで、より多様性を広げ、さまざまなことを知る機会も増えそうです。
全盲であるよーすけのお仕事シリーズは、まだまだ続きます・・・
次回もお楽しみに~♪