視覚障害者、中でも全盲と呼ばれる目が見えない人の仕事について、みなさんはどのようなイメージをしてますか?
今、日々当たり前のように自身がしている仕事。
“もし目が見えていなかったら・・・”と考える人は少ないのではないでしょうか?
今回は、見えない人がどうやって仕事をしているのか、当事者であるよーすけの経験を元に仕事の話をしたいと思います。
そして、視覚障害当事者にも参考にしていただけるよう、見える人とのコミュニケーションの工夫も書いています。
見えない人の仕事について
(友人妻)
そーいえばよーすけ君の仕事の話ってあまり聞いたことなかったね。
具体的にどんなことをしてるの?
俺に興味もってもらえて嬉しいな〜(嬉)
普段あまりしゃべる方じゃないけど、今日は話しちゃおうかな。
視覚障害者の方の仕事について、みなさんはどれくらい知っていますか?
普段一緒にいる妻のゆーなでも、見えないよーすけの仕事の様子は、あまり知らないようです。
見えないからこそ、仕事のやり方・工夫があるようなので、紹介していきたいと思います。
見えない人のパソコンの利用方法
(友人)
うちらは仕事で毎日パソコンを使うけど、よーすけもパソコンを使って仕事してるんだよね?
うん。
iPhoneだとボイスオーバーっていう画面読み上げ機能があるけど、パソコンにも似たようなものがいろいろあるんだよ。
画面を音声で読むソフトはいくつかあって、それぞれに長短があります。
画面読み上げソフトはスクリーンリーダーと呼ばれています。
視覚障害者がパソコン操作をする時に必須なソフトです。
メール、ワードやエクセル、インターネット、社内のシステムなども音声で読ませることができるため、大体のことは困りません。
スクリーンリーダーについて詳しく記載しているサイトをご紹介します。
しかしどうしても、読み上げだけでは難しい場面もあります。
次はそのポイントについて、お伝えしていきます。
スクリーンリーダーだけでは対応できないこと
(妻)
でもさ、いくら読み上げてくれるといっても、
仕事上で見えないと困ることもたくさんあるんでしょ?
うん、もちろんあるよ。
でも、工夫でどうにかなることも多いから、自分なりの工夫の仕方も紹介するね!
目が見える人でも仕事では困ることはたくさん出てきます。
それが見えなかったら・・・
想像しづらいかもしれませんが、実際の大変な事例を紹介します。
実際によーすけが実施している工夫点も一緒に記載するのでぜひ見えない方は参考にしていただければ嬉しいです。
同僚やお客さんを声で覚えないといけない!
<困りごと>
見える人は、外見の特徴や名札等で他人を認識していると思います。
ただ、見えない人にはそれが難しい。
よーすけの失敗談として、名刺交換の際、同僚と名刺を交換しそうになったこともあり・・・(汗)
声の特徴で聞き分けられるよう頑張っても、声で人を判断するのは非常に難しい場面が多いです。
<工夫しているポイント>
同僚に対する工夫
同僚であれば、声や話の内容から名前を推測したり、会話の後で別の同僚にその人の名前を確認したりすることで誰であるのかを特定しています。
中には気を遣って、話しかける前や挨拶の時に、自ら名前を名乗ってくれる人もいます。
初対面の人に対する工夫
声を覚える以外には、話の内容やその人の視覚以外の特徴をメモしておくなどして、覚えるようにしています。
作成する資料の誤字・脱字、見た目の体裁を整えられない
パソコン画面を読み上げるソフトを使っているからと言って、誤字がない文章が作れたり、表を作ったり、プレゼンテーション用の見た目の綺麗な資料を作れたりするわけではないのです。
見えていれば簡単におかしな部分に気が付くのに、まだまだ完璧ではない音声読み上げ機能では、気が付かない部分が多々あります。
<困りごと>
音声を頼りに文章を書いているため、どうしても漢字の誤変換が出ます。
しかも、視覚情報がないので誤変換に気付けないことも。
例えば、メールを「返信」する場合の漢字とヒーローに「変身」する場合の漢字は、音声読み上げでは一緒ですが、全く意味の異なる文字です。
漢字変換の際は、音声で漢字の説明を読み上げてくれるので、「返信」の言葉だと「返すのへん、信じるのしん」と読みます。
その読み上げに合わせて、変換作業をしていくのですが、長文を書いていると聞き逃してしまいます。
もちろん、見直しもしていくのですが、それでも同音異義語を一つも間違いなく発見することは難しいです。
一文字一文字の漢字を細かく音声で確認していくため、膨大な時間がかかってしまい、文章量によっては何日あっても足りないという状態に・・・
見えてたら、すぐに誤字に気が付くのにな~と思うこともしばしば。
<工夫しているポイント>
大切な文書等は見えている人にチェックをお願いする
よーすけの場合ですが、一文字一文字を音声で見直すことに時間を割いたり、音声読み上げで見える人の何十倍も時間をかけて資料を作ったりはしません。
それよりも、周囲の人に頼って、チェックをお願いするように心がけています。
同じ間違いを繰り返さないように工夫を凝らす
見える人にチェックをしてもらった際には、誤字やレイアウトの修正すべき点をその都度教えてもらうようにしています。
そしてそれをメモして、同じ誤りを繰り返さないようにする。
これによって、多くの誤字をなくしていくことができています。
定形文書やマクロを作る
報告資料やいつも使う表などは、誤字やレイアウトの修正をしなくても良いように定形化しています。
また、同じような作業を自動化してくれるマクロを多用することで、繰り返しの作業を可能な限り自動化し、ミスをなくすような工夫をしています。
単独で出かける仕事は、少し苦労する
慣れている場所であれば白杖を用いて単独で歩くことができますが、初めての場所は少し苦労します。
看板も見えないし、地図も読むことができない。
最近では、音声で道を案内してくれるアプリも出ていますが、建物の近くまでは行けても、入り口を探し当てることは難しい場合があります。
こんな時には、迷わず同僚に同伴してもらったり、それが難しい場合には先方に案内を依頼したりしています。
視覚障害者が同僚にいる場合にお願いしたいこと
(妻)
よーすけの工夫はすごくわかった!
逆に一緒に働く人に配慮してもらいたいなって思うことはある?
もし見えない人が同僚にいる場合には、当事者の声をなるべく尊重して機会を与えてあげてほしいと思うな。
視覚障害者に限らずよく聞く話なんだけど、「視覚障害者の○○さんには、どうせできないだろう」って無意識に思ってしまうんだって。無理もないよね。
(友人妻)
確かに。
コミュニケーション不足から、勝手なイメージでそういう風に思っちゃうことってあるかもね。
そこをさ、ぐっと堪えて「○○ってどうしたらできると思う?」と問いかけてほしいんだよね。
そうすると当事者自身も考えるし、工夫しようと思えるんじゃないかと感じるのね。
目が悪いからといって、配慮はしても遠慮はしないというのが大切かな。
障害者と一緒に働くにはどうしたら良いか、少しでもヒントになったでしょうか。
よーすけの言葉にもある「配慮はしても遠慮はしない」、この言葉も、その一つに感じますね。
違いに切磋琢磨しながら、より良い仕事ができる環境が増えていったらいいな。
こちらの記事では実際の仕事に就く前、就活の話を取り上げています。
視覚障害者の”仕事”については今後も情報発信していきますので、是非お楽しみに〜