全盲だけでなく弱視の方も持ち歩いている白い杖。
“白い杖”と書いて、「白杖(はくじょう)」と読みます。
この白杖の世界、実はとても奥が深い。
せっかくなので、今まで街でなんとなく目にしていた方々にも知ってもらえるように、白杖についての情報をまとめてみました!
また、白杖を持つ当事者の気持ちについても紹介していきます。
白杖の役割や購入費用
役割とは
視覚障害者が持っている杖、白杖(はくじょう)。
白杖の役割を簡単に整理すると、主に以下の二つになります。
- ①周囲の障害物や段差を杖で探りながら、安全に歩行するため
- ②白杖を持つことで、周囲に注意を促すため
また白杖には、夜間走る車のライトに反射するテープも貼ってあるので、夜の歩行も安心。
(よーすけ曰く、友人と写真撮影をする際、フラッシュで写真を撮ると、白杖が反射して面白い写真が撮れるらしいです(笑))
購入費用
通常の白杖は、購入費 約4,000円〜7,000円程度。
丈夫なカーボンを使って折れにくくしている物や、素材を軽くして持ち歩きやすくしている物もありますが、それらは高額になる傾向があるようです。
そして白杖は消耗品。
人の足に引っかかったり、自転車に巻き込まれたり、ちょっとした負荷がかかることで折れてしまいます。
見えない人が日常的に使用するものなので、定期的な買い替えが必要になります。
俺の場合は約1年に1回程度は買い替えてるかな。
折れたり、中のゴムが切れちゃったりするんだ。
障害区分や程度、自治体や本人の所得にもよりますが、購入費には補助もあります。
また、外出中に折れてしまった場合、応急処理として簡単に補強できるギブスのような部品も500円程度で売っています。
よく折れてしまう人は、持ち歩くことをお勧めします。
白杖を持って歩く時に生じる気持ち
子どもの頃は、白杖を持っているとじろじろ見られるから、持ち歩くことにすごーく抵抗感があって、あまり持ってなかったんだ。
それに、白杖を持っていると、見えないことで弱い自分になってしまいそうでさ・・・
本当はそんなことはないんだけど、なんだか嫌だったんだよね。
(友人)
でも、同じように考える人は少なくないんじゃないかな。
特に”見えにくい”人とか、まだ見えないってことを受け入れたくない気持ちの人もいるだろうし、周囲の目とか気にしちゃうよね。
見えない人・見えにくい人の中には、何らかの事情があって、白杖を持ち歩きたくないという人もいるのではないでしょうか。
特に子供の時は”周囲との違い”に敏感になり、抵抗を持ってしまうことも多いかと思います。
よーすけの場合は中学生の後半から、ほぼ見えなくなって、一人で歩くのが怖くなったので、やむを得ず、白杖を持ち始めました。
持ち始めてからは周囲の目などは気にならない、気にしても仕方がないという考えに至りました。
迷っている方は安全のためにも持ち歩くことをお勧めします。
見えない、見えなくなるという事実を受け入れるということは、簡単なことではない。
上手く表現できないですが、よーすけと同じく、当事者の方はきっと、想像以上の色々な気持ちを抱いているかと思います・・・
白杖を持つことに対する法律上での定義
白杖を持つことについて、法律ではどのように決まっているのでしょうか。
調べてみたところ、道路交通法において、
- 目が見えない者は杖を持たなければならない
- 杖の色は”白か黄色”であること
上記が指定されています。
また、目が悪くないのに白杖をもって道路を歩くことは禁止。
合わせて、運転手は白杖を持つ人のため、一時停止や徐行をして通行を妨げないようにしなければならない、というルールもあります。
条文は以下です↓
■道路交通法:杖を持つことが定められている条文
第十四条 目が見えない者…は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。
■道路交通法:関係ない人が杖をもってはいけないことが定められている条文
第十四条 2 目が見えない者以外の者…は、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める用具を付けた犬を連れて道路を通行してはならない。
■道路交通法:運転手の義務が定められている条文
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
二 …目が見えない者が…つえを携え、若しくは同項の規定に基づく政令で定める盲導犬を連れて通行しているとき…は、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること。
■道路交通法施行令:杖の色が決められている条文
第八条法第十四条第一項及び第二項の政令で定めるつえは、白色又は黄色のつえとする。
道路交通法:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000105
白杖に対するイメージを変えてみよう♪
目の見えない人が安全に歩行できるよう、法律等で定めがある一方で、当事者の気持ちや行動は、なかなかそれらについていけていないのも実情。
そこでWithBlindなりに、白杖がもっと便利だったり、デザインが可愛かったりすると、白杖に対するイメージや見えない人に対する印象も変わるのではないか?!と考え、更に白杖について調べてみました!
白杖にデコレーションをする!
白杖も洋服と一緒で、見えない人にとってのファッションアイテムの一つと考え、お洒落なテープを貼ったり、キーホルダーを付けたりして楽しむ人もいるようです。
白杖をスマート化!?
ここからは、最新技術を白杖と融合させた商品の紹介です。
視覚障害者がより安心して使用できる白杖が一般的になる日も近い・・・!?
超音波を利用するハイテク電子白杖!
路上駐車しているトラックのミラー等に頭をぶつけてしまった・・・
飛び出ている木の枝や看板に体をぶつけてしまった・・・
そんな経験を持つ視覚障害者は、多いのではないでしょうか。
頭上や胸の高さのものは、白杖で検知することができない部分。
それを解決できそうなハイテク白杖がありました!
『スマート電子白杖』は、数メートル先の障害物を超音波で検知し、白杖のグリップが振動することで歩行者に危険を知らせてくれます。
数年前から製品化しており、検知するシステムが速足の人には対応しきれていなかったり、防水機能がまだまだ弱く、持ち歩くには重量があったりと、まだまだ日常的に使うには苦労したそう。
高額でもあるせいか、あまり浸透はしていないようです。
(妻)
こんなハイテクな白杖があったなんて知らなかった!
早く金額も含めて浸透してくれたらいいのに残念・・・
紹介しているサイトはこちら↓
点字ブロックと連携!音声で誘導する白杖
こちらの『スマート白杖』は、予め駅の点字ブロックに埋め込んだタグを白杖が認識して、音声で歩行者を案内してくれます。(※2020年6月時点では実証実験中)
この技術により、視覚障害者が駅のホームから転落してしまう事故の減少を目指しています。
ただ、この技術は”音声での案内がメイン”になるため、電車の往来や周辺の音が大きい駅できちんと聞こえるのかが心配なところ。
Youtubeでの紹介はこちら↓
公式サイトはこちら↓
行きたい場所をスマホで案内!海外発の白杖
海外発!スマホ専用アプリと連携して、行きたい場所までの音声案内や、バスの到着時刻を教えてくれるスマート白杖『WeWALK』。
他のスマート白杖と同じく、周囲に障害物がある場合には振動で知らせてくれます。
スマホと白杖が一体化したようなイメージです。
料金は、日本円でおよそ5万円超!!!!
Youtubeでの紹介動画はこちら↓
WeWALKの公式サイトはこちら↓
まとめ:視覚障害者と白杖について
白杖は毎日持ち歩くものだから、軽くて丈夫なものが1番!
いかにストレスなく、利用できるかが大事なんだ。
(友人妻)
見える人だって荷物が多くて重いと大変だし、そこに白杖の重さも加わったら、更に大変だもんね。
視覚障害者にとっては重要なものだから、法律でもちゃんと定められていることを知れて、安心したよ。
視覚障害者にとっては大切な白杖。
「白杖を持っているから、目が見えない方なんだな」というところまでは、みなさん認識していると思いますが、様々な決まりがあるんですね。
スマート白杖が開発されているというのも驚き!!
近い将来、視覚障害者がもっと安心・安全に、そして日常的に、より便利な白杖を使える未来がくるかもしれない♪
そんな中、白杖を持っていても怖い場面も・・・
急いで歩いている人や自転車が、白杖や視覚障がい者に気づかずぶつかり、白杖が折れてしまう・怪我をしてしまうケースも実際に起きています。
社会全体での施設・設備のバリアフリー化もそうですが、同じように街を歩き、様々な施設を利用する人同士として、白杖を持った方々への配慮は本当に必要。
気持ちのバリアフリーも、大切にしていきたいですね。
視覚障害者にとっての、”白杖を持つ”という複雑な気持ちや、法律での位置づけ。
一方で、ファッションアイテムの一種や技術との新しい白杖の世界。
見えても、見えなくても、感じていただけたら嬉しいです!