視覚障害がある人のオンライン学習は、場所に左右されず、自分の見え方や支援技術に合わせて学べる選択肢です。一方で、「教材はスクリーンリーダーで読める?」「点字で受講できる?」「パソコン操作に自信がなくても大丈夫?」と不安を感じる人も少なくありません。
この記事では、視覚障害者向けオンラインスクール「With Blind」の現在の公式情報をもとに、学べる内容、個別授業とグループ講座の違い、必要な準備、授業を活用するコツを初めての人にも分かる言葉で解説します。子どもの学習を考える保護者、仕事のスキルを伸ばしたい社会人、すでに受講中で学び方を見直したい人まで活用できる実践ガイドです。
視覚障害者向けオンライン学習「With Blind」とは
With Blindオンラインスクールは、視覚障害のある子どもから大人までを対象に、オンラインで一人ひとりに合わせた学習機会を提供しています。学校の勉強や受験対策だけでなく、パソコン・スマートフォン、点字、プログラミング、仕事や趣味に役立つ分野を学べることが特徴です。
一般的なオンライン講座では、画面共有や画像中心の資料を前提に進むことがあります。視覚障害がある受講者にとっては、内容以前に「資料へアクセスできない」「講師の『ここを見てください』が分からない」という壁が生まれます。With Blindでは、点字、テキスト、音声、動画、スクリーンリーダー、画面拡大など、受講者の方法に合わせて学ぶことを大切にしています。
また、視覚障害のある講師や、視覚障害への理解がある講師から学べる点も重要です。単に操作手順を説明するだけでなく、見えにくさがある状態でどこにつまずきやすいか、どう工夫すれば自分で再現できるかを共有しやすくなります。
With Blindで学べる主な内容
公式サイトでは、次のような学習分野が案内されています。開講状況や対象者は講座によって異なるため、申込み前に最新情報を確認してください。
| 分野 | 学べる内容の例 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| 学校・受験 | 国語、算数・数学、英語、社会など | 授業の復習、苦手分野の整理、受験準備をしたい子ども |
| デジタル | パソコン、スマートフォン、Word、Excel、プログラミング | 端末の基本操作から仕事で使う技能まで身につけたい人 |
| 読み書き・表現 | 点字、点字楽譜、音楽 | 情報へのアクセス方法や表現の幅を広げたい人 |
| 生活・交流 | ヨガ、コミュニケーションなど | 健康、趣味、人とのつながりを豊かにしたい人 |
「何を学ぶか」が決まっていない場合も、困っている場面から考えると目標を見つけやすくなります。たとえば「学校から届くデータを自分で読みたい」「Excelの表を音声で確認したい」「スマートフォンで予約を完結したい」のように、生活の場面を具体的に伝えてみましょう。
個別授業とグループ・特別講座の違い
With Blindでは、一対一の個別授業と、グループ・特別講座が案内されています。どちらが優れているというより、目標と学び方に合う形式を選ぶことが大切です。
| 比較ポイント | 個別授業 | グループ・特別講座 |
|---|---|---|
| 進む速さ | 理解度や操作速度に合わせやすい | 決められた進行に沿って学ぶ |
| 質問 | 自分の課題を詳しく相談しやすい | 他の参加者の質問や工夫も参考になる |
| 向いている目的 | 受験、端末操作、仕事上の個別課題 | 新しい分野の体験、交流、共通テーマの学習 |
| 事前確認 | 目標、教材形式、利用端末 | 対象者、開催日時、使用アプリ、定員 |
初めてオンライン授業を受ける人や、支援技術の設定に不安がある人は、まず個別に相談し、自分の環境で参加できるか確認すると安心です。一方、同じ関心を持つ人と学びたい場合は、特別講座が新しい情報や仲間に出会う機会になります。
受講前に伝えておきたい「見え方」と学習環境
視覚障害といっても、見え方や使いやすい方法は人によって異なります。「全盲」「弱視」という言葉だけでは、講師が必要な配慮を具体的に判断できないことがあります。できる範囲で、普段の情報の取り方を伝えましょう。
- 利用する端末:Windows、Mac、iPhone、iPad、Androidなど
- 支援技術:VoiceOver、TalkBack、NVDA、JAWS、PC-Talker、画面拡大、白黒反転など
- 読みやすい形式:テキスト、点字、音声、拡大文字、動画の音声解説など
- 見やすい条件:文字サイズ、色、コントラスト、画面との距離
- 操作方法:キーボード中心、タッチ操作、点字ディスプレイ、マウス併用など
- 困りやすい場面:画面共有、画像認証、表、数式、グラフ、ドラッグ操作など
すべてを専門用語で説明する必要はありません。「黒い背景に白い文字が読みやすい」「長い資料は音声、重要語句は点字で確認したい」「画面共有ではカーソルの場所が分からない」といった普段の言葉で十分です。
初めて受講するまでの6ステップ
1.学びたいことを一つの場面にする
「パソコンを学びたい」だけでなく、「メールに添付されたWordファイルを開いて修正し、返信できるようになりたい」のように、できるようになりたい行動まで書き出します。目標が具体的だと、必要な回数や教材を相談しやすくなります。
2.公式サイトで最新の講座を確認する
講座、講師、開催日時、料金は変わる可能性があります。古いブログやSNSの投稿だけで判断せず、With Blindオンラインスクール公式サイトで現在の案内を確認してください。
3.端末と通信環境を確認する
授業で使う端末を充電し、イヤホンやマイク、インターネット接続を確認します。授業用アプリが必要な場合は事前にインストールし、ログインまで済ませます。初回は更新やパスワード再設定に時間がかかることがあるため、前日までの準備がおすすめです。
4.必要な配慮を相談する
教材形式、画面共有時の言葉による説明、休憩の入れ方、操作待ちの時間などを相談します。分からないことが整理できていなくても問題ありません。「初めてなので準備から相談したい」と伝えることが、適切な授業設計の出発点です。
5.初回授業で操作方法を共有する
講師と受講者で、質問するときの合図、画面が止まったときの連絡方法、資料を受け取る方法を決めます。音声が途切れた場合に備え、電話やメッセージなど別の連絡手段も確認すると安心です。
6.授業後に一人で再現する
理解したつもりでも、一人で操作すると手順が曖昧になることがあります。授業直後か翌日に同じ操作を再現し、止まった場所をメモします。次回はそのメモを講師に共有すると、自分専用の手順書へ改善できます。
子ども・保護者が確認したいポイント
子どもの学習では、正解にたどり着くことだけでなく、自分に合う方法で情報を読み、考え、説明できることが大切です。保護者がすべてを代わりに操作すると、授業は進んでも本人の力として残りにくくなります。
- 学校で使っている教科書や教材の形式を講師へ伝える
- 本人が読みやすい文字サイズ、点字、音声の組み合わせを確認する
- 保護者が同席する範囲と、本人だけで取り組む範囲を決める
- 学校の課題をそのまま代行するのではなく、解き方や調べ方を学ぶ
- 疲れやすさを考慮し、休憩や授業時間を相談する
- できたことを記録し、本人が成長を実感できるようにする
特に数式、図形、地図、グラフは、言葉による説明だけでは理解しにくい場合があります。触図、具体物、点字、拡大図など、どの方法なら理解しやすいかを講師と一緒に試すことが重要です。
社会人・就職を目指す人の活用方法
仕事のための学習では、機能を広く覚えるより、実務の流れを一つずつ完結させるほうが成果につながります。たとえばWordなら「文書を開く」だけでなく、見出しを付け、誤字を確認し、名前を付けて保存し、メールへ添付するところまで練習します。
Excelでは、セルの移動や入力だけでなく、表の構造を把握する方法、行と列の見出しを確認する方法、数式の結果と元データを行き来する方法まで学ぶと実務で役立ちます。スクリーンリーダーの読み上げ設定やショートカットは、使用するソフトや職場環境に合わせて調整しましょう。
- 職場や応募先で使うOS・ソフトを確認する
- 実務に近いサンプル文書で練習する
- よく使うショートカットを自分用の一覧にする
- 操作に必要な時間を測り、繰り返しで短縮する
- 困ったときの調べ方、質問の仕方、代替手段も学ぶ
- 個人情報や会社の機密情報は教材として送らない
授業を「受けただけ」で終わらせない7つのコツ
- 一回の目標を小さくする:「スマホを使えるようになる」ではなく「連絡先を検索して電話する」までに区切ります。
- 操作を声に出す:今いる画面、押したキー、読み上げられた内容を言葉にすると、講師がつまずきを把握しやすくなります。
- 自分で操作する時間を確保する:講師の実演を見るだけでなく、自分の端末で同じ手順を行います。
- 手順書を自分の言葉で作る:キー操作だけでなく、成功したときに何と読み上げられるかも記録します。
- 分からない瞬間を記録する:「全部分からない」ではなく、最後にできた操作を残します。
- 復習日を予定に入れる:授業後24時間以内に短時間でも再現すると記憶が定着しやすくなります。
- 目標を定期的に更新する:できることが増えたら、次に生活や仕事で必要な行動へ進みます。
オンライン授業で起こりやすい困りごとと対処法
音声が重なって聞き取れない
授業の音声とスクリーンリーダーの音声が重なると、重要な案内を聞き逃しやすくなります。講師が説明する時間と、受講者が操作して読み上げを聞く時間を分けてもらいましょう。イヤホンを使う場合は、周囲の音が完全に聞こえなくならないよう安全にも配慮します。
「右上」「赤いボタン」が分からない
位置や色だけでなく、ボタン名、見出し名、前後の項目、キーボード操作を説明してもらいます。「画面右上の赤いボタン」ではなく「『退出』と書かれたボタン」のように、支援技術で確認できる名称を使うと再現しやすくなります。
資料が読めない
画像だけのPDF、複雑な表、文字情報のない写真は、そのままでは読めないことがあります。可能であれば事前にテキスト版を受け取り、画像には説明を付けてもらいます。講師へは「読めません」だけでなく、ファイル形式と、スクリーンリーダーが何と読み上げるかを伝えると原因を切り分けやすくなります。
接続が切れた
再入室用リンクの保存場所を決め、授業前に開き方を確認します。接続が戻らない場合の連絡手段と、授業時間の扱いについても事前に確認してください。端末の再起動で支援技術の設定が変わる場合があるため、普段使う設定をメモしておくと安心です。
スクール選びで確認したいチェックリスト
視覚障害者向けと書かれていても、対応内容はサービスごとに異なります。申込み前には次の点を確認しましょう。
- 自分が学びたい内容と到達目標に対応しているか
- 個別授業かグループ授業か、質問できる時間があるか
- 使用する端末、アプリ、支援技術に対応できるか
- 教材を点字、テキスト、音声、拡大などで受け取れるか
- 欠席、振替、キャンセル、支払いの規定が分かりやすいか
- 講師の経験や、視覚障害への理解を確認できるか
- 料金だけでなく、一回の時間、回数、必要な準備を比較したか
- 個人情報や相談内容の取り扱いが明示されているか
料金や講座内容は変更されることがあります。本記事では固定の金額を記載せず、公式サイトの最新案内を確認する形にしています。申込みを急がず、疑問点を問い合わせてから判断してください。
よくある質問
Q.パソコン初心者でも受講できますか?
学習分野としてパソコンやスマートフォンが案内されています。初心者の場合は、電源の入れ方、文字入力、オンライン授業への接続など、現在できることと困っている場面を申込み前に伝えましょう。必要な準備や適した講座について個別に確認できます。
Q.全盲で点字を使っています。受講できますか?
公式サイトでは、点字やスクリーンリーダーを含む学習方法が案内されています。ただし、教材や講座ごとの対応は異なる可能性があります。使用している点字ディスプレイ、点字の種類、希望する教材形式を事前に相談してください。
Q.弱視ですが、画面を見続けると疲れます。
見やすい配色や倍率に加え、音声との併用、休憩の入れ方、授業時間を相談しましょう。画面を見続けることだけがオンライン学習ではありません。自分にとって疲労が少なく、内容を理解しやすい方法を選ぶことが大切です。
Q.子どもの授業に保護者の同席は必要ですか?
年齢、端末操作、授業内容によって必要性が異なります。最初は接続や教材準備を支援し、慣れたら本人ができる範囲を増やす方法があります。具体的な同席条件は受講前にスクールへ確認してください。
Q.講座の料金や日程はどこで分かりますか?
最新の募集状況、日程、料金は公式サイトで確認してください。過去のお知らせは受付が終了している場合があります。講座名と希望内容を添えて問い合わせると確認がスムーズです。
まとめ:見え方に合う方法を相談することが、学びの第一歩
視覚障害者のオンライン学習で重要なのは、決められた方法に自分を合わせることではありません。点字、テキスト、音声、動画、スクリーンリーダー、画面拡大などから、自分が理解しやすく再現しやすい方法を組み合わせることです。
With Blindオンラインスクールでは、学校の教科、パソコンやスマートフォン、点字、プログラミング、仕事や趣味まで、さまざまな学びが案内されています。まずは「できるようになりたいこと」と「普段使っている方法」を一つずつ言葉にし、現在の講座や対応方法を相談してみてください。
最終確認:2026年8月。講座内容、募集状況、料金、利用条件は変更されることがあります。申込み前に公式サイトで最新情報をご確認ください。


