2023年3月、関東圏で「Suica」・「PASMO」の障害者割引が適用されたICカードが発売されました。
メンバーのよーすけは、早速発売日の2023年3月18日に購入。
このICカードで障害者と介助者が一緒に公共交通機関を利用する際の利便性が劇的に向上しました。
ただ、留意点もいくつかあるんです。
そして、関東よりも前にこのような仕組みを提供していたところがあったことをご存じでしたか?この点も紹介していきます。
障害者割引が適用されたICカードの概要は?
障害者と介助者が一緒に公共交通機関を利用する際のICカードが登場。
このICカードは通常のものとは異なり、一定の条件を満たせば、自動で障害者割引が適用されます。
例えば、第1種身体障害者のよーすけと、介助者の妻のゆーなが普通乗車券を使って旅行する場合、障害者割引が適用できれば、実際は大人は二人ですが、大人一人分の運賃になります。
自動で割引が適用されるのが今回のポイントです。
自動で割引がされる世界がやってきた。これまでの不便さに比べたら、本当に嬉しかったな。
これまでの状況は?
この障害者割引が適用されたICカードが登場する前はどうだったのでしょうか。
この制度に馴染みがない方向けに、障害者割引が適用されたICカードが登場する以前の話を少し書きます。
介助者と電車やバスに乗る場合、これまでは主に次のような手続きが必要でした。
- 窓口で障害者手帳を提示して乗車券を購入しなければならなかった
- ICカードやモバイルSuicaなどを使う場合、毎回駅員さんやバスの運転手さんに障害者手帳を提示して障害者割引を適用してもらわなければならなかった
「単に障害者手帳を提示するだけでしょ?一瞬じゃん!」と思われがちです。
これがとても不便だったんです。
割引対象者であることを証明するために毎回列に並ばなければならず、時間も多くかかっていました。
最近は、人手不足やコスト化っとの影響でか、駅員さんや窓口がない駅も多くなり、この不便さがさらに増していました。
子ども向けのICカードだと改札をタッチするだけでいいのに、障がい者はなぜ都度障害者手帳を提示しなければならないんだろうと感じていたよ。障害の程度は半年やそこらで変わるものでもないのになって思ってたんだよね。
結局私たちのお出かけがどう変わるの?
ここからが本題です。
障害者本人と介助者のそれぞれが専用ICカードを使うことで、窓口やバスの運転手さんにお願いしなくても、障害者割引が自動で適用されるようになりました。
つまり、お出かけ時に、窓口で並んで専用の乗車券を購入することも、ICカードに割引を適用させるためだけに駅員さんやバスの運転手さんに依頼することも不要になったんです。
混雑時間帯などに並ばなくてもよくなりました。
そして、駅員さんがいるかどうかを気にしなくてもよくなったのはとても大きいことです。
ただし、このICカードを使うにあたっての留意点もいくつかあるため、見ていきましょう。
対象は第1種身体障害者または第1種知的障害者の大人と介助者
障害者割引が適用されたICカードですが、公共交通機関で実施している障害者割引制度よりも対象は狭いので、注意しましょう。
対象は、第1種身体障害者または第1種知的障害者の大人とその介助者です。
それぞれについて補足します。
- 第1種身体障害者:お持ちの「身体障害者手帳」で確認
- 第1種知的障害者:お持ちの「療育手帳(愛の手帳)」で確認
- 介助者:家族、友人、ガイドヘルパーなど、同一区間を同時に利用する任意の人
介助者って聞くと、何らかの資格が必要なのかと思っちゃうけど、私でもいいのね。
2種類1組のICは同一区間で同時に利用する
障害者割引が適用されたICカードは2種類あります。
障害者本人用と介助者用です。
そして、障害者割引を自動で適用させるためには、この2種類のICカードを同時に同一区間で使わなければならないのがポイントです。
ただし、同時といっても、障害者用と介助者用を全く同じタイミングで改札にタッチさせなければならないということではないようです。
また、実際に試したところ、二人の改札を通過する順序は問題とはならないようでした。
改札を通過する時に、間に違う人が入ったとしても割引は適用されていました!
一番最初に使ったとき、本当に割引が適用されるのかどきどきしたよね。ちゃんと割引が適用されていたから感動してたね。
なお、介助者用は任意の人が利用できますが、障害者用のICカードは、記名式であるため、名前が書かれている障害がある本人のみが利用できます。
そして、100キロを超えない区間では、単独での利用では割引が適用されないようです。
利用区間は全国ではない
障害者割引を自動で適用できるのは限定したエリアだけです。
具体的には、2023年3月時点で利用できるのは主に関東エリアです。
他の地域でも、このようなICカードの発売が予定されているようです。
このICカードが利用できるエリアも随時拡大していくようですので、今後に注目です。
ちなみに、関西では既に類似のサービスが始まっていました。
さすが出身地関西。仕事が早い。
発売場所は窓口のみ
障害者割引が適用されたSuicaとPASMOはどこで買えるのでしょうか。
こんな時代だからこそ、オンラインでも購入できるとか?
発売場所ですが、次のとおりです。
- 障害者割引が適用されたSuica:JR東日本のSuicaエリア内のみどりの窓口や一部の多機能券販機
- 障害者割引が適用されたりんかい Suica:りんかい線の定期券発売窓口
- 障害者割引が適用されたPASMO:PASMO鉄道事業者の窓口など
購入手続と必要書類
購入手続にはどのような書類が必要で、どんなことをしなければならないのでしょうか。
購入手続はとてもシンプルでした。
対象であることを証明するため、次の書類が必要です。
- ①身体障害者手帳または療育手帳の提示
- ②障害者割引が適用されたICカードの申込書類(窓口にもあります。)
Suicaの場合は、こちらに掲載されている申込書類が必要です。
なお、障害者1名に対して、障害者割引が適用されたSuicaまたは PASMOいずれか1組のみが購入できます。
通常のICカードとは異なり、複数枚を購入することはできません。
また、デポジットとして障害者用と介助者用とのそれぞれに500円が必要です。
通常の交通系ICカードの購入とここは同じですね。
有効期間は購入後1年後の同月末日
有効期間は、購入日から1年後の同月末日までです。
つまり、2023年3月18日に購入した場合、2024年3月31日までとなります。
有効期間の更新については、改札窓口でも受付てくれる場合もあるようです。
毎回障害者手帳を提示しなければならなかった時代から、1年に1度提示する時代に変わるのはとても嬉しいことです。
ただし、この障害者割引が適用されたICカードを利用する際には、障害者手帳も携帯することが求められていますので、忘れずに常に持ち歩きましょう。
スマホと連携させることができない
残念ながら、このICカードは、通常の交通系ICカードとは異なり、Apple PayのSuicaや、モバイル Suica、Apple Pay のPASMO、モバイル PASMOとして使うことはできないようです。
つまり、スマホ一つで介助者と外出することはできません。
改札にタッチするだけで障害者割引を適用したい場合には、この物理的なICカードを本人も介助者も持ち歩かなければならないということです。
スマホ一つで外出したい場合は、これまで通り駅員さんに割り引いてもらうのがいいかもね。でも、早くスマホと連携しないかな。
チャージは券売機
このICカードへのザンダカチャージですが、原則は券売機です。
本人が持ち歩く障害者用Suicaについては、ビューカードでのオートチャージができます。
ただし、それぞれの「氏名(カナ)」「生年月日」「性別」が一致する必要があります。
また、残念ながらこのオートチャージは、介護者Suicaでは利用できないとのことです。
スマホの交通系ICに慣れていた人にとっては、券売機でのチャージは少し面倒なのかもしれません。
JREポイントが貯まるのは本人だけ
コンビニなどでもこのICカードが利用できます。
ただし、JREポイントが貯まるのは、障害者本人のICカードだけ。
介助者Suicaでは、ポイントは貯まらないようです。
介助者はいつも同じ人ではないという想定があるからだそうです。
介護者もポイントを貯めたいな。介護者用の記名式ICカードも発売されないかな。
まとめ
このICカードの登場により、劇的に介助者と出かける際の割引手続が便利になりました。
この記事では、細かな条件やその他の便利サービスについて紹介しきれなかった部分もあります。
また、発売されて間もないため、情報も少なく、この記事の掲載内容に誤りがある場合もあります。
ぜひ、それぞれの公式サイトをご覧ください。
そして、誤りがあればぜひご指摘いただけますと幸いです。
https://www.jreast.co.jp/press/2022/20221222_ho03.pdf
<補足情報>
- 「Suica」「モバイル Suica」は、東日本旅客鉄道株式会社の登録商標です。
- 「PASMO」「モバイル PASMO」は、株式会社パスモの登録商標です。
- Apple PayはApple Inc.の登録商標です。
- その他この記事で紹介したものは各社の商標に属します。