大変嬉しいことに、技術の進歩によりスマホなどのICTを駆使すれば、視覚障害者であっても知りたい情報にアクセスすることが容易になってきています。
ただ、どんなにスマホを駆使しても、全盲の私は、残念なことに生きづらさを感じる場面も。
そこで、同じような生きづらさを感じている方々のためにも、ITの力を活用して視覚情報を補うための取り組みを開始しました。
私たちの取り組みが形になることで、視覚障害者もその周りの人も「楽しい」を感じてもらえるといいなと思っています。
視覚障害者の日常の困ったとは
様々な場面で、見えない・見えにくいことで、
という不安は常に心のどこかで感じているのではないでしょうか。
初めて訪れる店や施設での場面
例えば、初めて訪れる店では
- 全盲の私だけど、店内の座席まで案内してくれるかな
- ビュッフェ形式のお店では店員さんがサポートしてくれるのかな
- メニューがわからないけど、概略を説明してくれるかな
- 弱視の私は、暗い店に段差があるか不安
アプリや家電などの購入での場面
ウェブサイトでは、一般ユーザー向けの商品レビューが当たり前のように掲載されています。
しかし、視覚障害者をターゲットにしたレビューや使い方を掲載したものはあまりありません。
そんな時には、実際に購入して確かめるのも手だけど、もっと近道はないかなと感じた方も少なくないのでは。
- 高額の商品だけど、見えなくても使えるのか不安
- 同じ視覚障害者で使ったことがある人がいたらその情報が知りたい
- 見えなくても使えるって聞いたけど、情報が点在しててその情報を探し出すのが大変
困ったを解決する方法
上述した困難さを解決するためには、周囲の見える人にサポートを依頼するのが一番かもしれません。
私たちも、白杖を持っている人が困っている様子であれば声かけをお願いしますと記事で紹介してもいます。
ただ、いつも見える人が周囲にいてくれるわけではないので、その他の方法も用意しておく必要があります。
他の解決策
そこで、ITの力を使って生きづらさを軽減することを考えました。
イメージとしては、グルメレビューサイトのようなものです。
その店や施設を利用した人が、独自の目線で視覚障害者の使いやすさを評価したり、レビューを書いたりする仕組みを検討しています。
まさに「あなたの体験が、誰かの役に立つ」というキャッチフレーズがしっくりくる取り組みだと思っています。
実際に私たちのSNSで意見を聞いたところ、思わぬ大反響がありました!
何よりも大切なのは、視覚障害者目線での情報を世の中に広めていくこと
ところで、独自の目線での評価やレビューについては、
私はこう思ったけど、他の人はそう思わなかったらどうしよう・・・
という不安がつきもので、実際にも数人から同様の指摘がありました。
考えてみると、十人十色なので、同じ視覚障害者でも違う感じ方をするのは当然かもしれません。
また、施設によっては、繁忙度によって受けられる配慮も異なってくる可能性はあります。
ただ、あなたの感じたことや体験は、とても貴重で、誰かの参考になります。
だから、上述した懸念はあるかもしれませんが、自信を持って感じたことを表明してもらいたいなと思っています。
なお、運営側のWith Blindとしては、この不安を解決する特効薬はありませんが、なるべくそのようなズレがない評価基準を設定することや、投稿者目線でのその時の評価であることを強調することで不安を軽減していきます。
何よりも大切なのは、ミシュランガイドのように、これに掲載されることが嬉しいこと、名誉あることなんだという考えを浸透させて、誰もが楽しめる環境を広げていくことです。
実施するうえでの課題
やりたいことを書いてきましたが、これには大きな課題があります。
プログラミングができる人材がいない
With Blindは全員がそれぞれに素晴らしいスキルがありますが、残念ながら、私たちの中にシステムエンジニアがいないんです。
かといって諦めるわけにもいきません。
そこで、協力いただけるエンジニアを募集したところ、なんと5名の素晴らしい方に協力いただけることになりました!!
視覚障害ユーザー固有の課題
もう一つの課題は、これをいろんな視覚障害者に利用してもらってわかったのですが、アプリでないと不便ということです。
しかし、単にWebサイトをアプリにすれば解決するかというと、そうではなさそうなんです。
できるだけ簡単な操作で目的が達成できるようにする仕組みを考えないと普及しないかなと感じました。
というのも、特に視覚障害者はスマホを利用する場合には、音声読み上げや拡大鏡を使用している場合が多く、一度に入手できる情報は通常に比べて制限されることがあります。
また、ヘビーなネット利用や、調べものであれば、パソコンを使うという方もまだまだ多いようです。
そうすると、自宅などのパソコンから投稿できる仕組みにしてしまうと、なかなか利用者は増えないんじゃないかなと思っています。
アプリであっても、外出先などでも簡単にスマホで評価できる仕組みにしないと、投稿してくれる人も利用してくれる人も増えないのかなという結論に至りました。
まとめ
私たちのアイデアは、周囲の視覚障害がある友人や、その他の方々にお話しすると、とても興味を持ってもらえるものでした。
他方、実際にアイデアを形にする段階で、固有の問題がちらほらと現れてきました。
私たちは、この取り組みが何らかの形で皆さんに利用してもらえるように、今後も頑張っていきたいと思っています。
そして、関係者や専門家の方々ともっともっと相談を重ねて、この事業を前に進めていきたいと思っています。