今年の秋、視覚障害者(全盲)のよーすけ家に、とても可愛いメンバーが加わりました。
そのメンバーは、我が家をさらに幸せで明るいものにしてくれています。
ただ、視覚障害があるパパなりの苦労や悩みも…
そこで、この機会に出産前から生後3か月の子育てをまとめてみることにしました。
私が考える“パパ”が仕事を離れて育児に専念することの意義や、“パパ”になるに当たり、読んだ書籍も記載していますので、参考になればと思います。
家族や育児に対する考え方はいろいろだもんね!
ご報告:With Blindに新メンバー登場
よーすけ家に誕生した天使のような赤ちゃん。
With Blind上では、本名ではなく、ニックネームとして「クリームちゃん」と呼ぶことにします。
大好きなアイスクリームやケーキには欠かせないクリームの存在をヒントにニックネームを付けてみました。
読者の方には、クリームちゃんに対しても親しみをもってもらえると嬉しいです。
ようこそWith Blindのメンバーに!
妊娠から出産まで
妻のゆーなの妊娠前後。
視覚障害パパとしての視点から、悩みと思いを紹介します。
視覚障害者が子どもを授かる不安
視覚障害者として、結婚や仕事と同じぐらい、子どもについて悩みました。
大きく分けて、二つの不安がありました。
①育児に対する不安
育児は予想外の出来事がたくさん。
「見えていても大変なのに、見えない私にできるかな?」
という漠然とした不安がありました。
②自分の障害が遺伝したらどうしようという不安
私の目の病気である網膜色素変性症は、遺伝する可能性も0ではないといわれています。
一方、私のように、家族や親せきに網膜色素変性症を持つ人は一人もいないのに、私だけが突然変異で発症した例もあるようです。
これらの不安を解決するための特効薬はありませんが、日々の生活で妻や家族、友人の力を借りて、一つ一つ乗り越えていくしかないと今は信じています。
遺伝についての書籍を読んでいて、心に残った言葉を紹介します。
遺伝リスクを心配するよりも、いかに君が楽しく生きるかが重要だよ。
この医師の言葉を私なりに解釈すると、私が視覚障害があっても十分楽しめる人生なら、子どもが例え同じ病気でも楽しめるんじゃないの?と励ましてくれていると受け止めました。
遺伝のことや障害が発症するかどうかはいくら話し合っても仕方ないもんね。
大切なのは、どんな子も楽しく過ごせる社会と、自分たちの心の持ちようなんだよね。
仕事と育児の両立
もし子どもを育てることになったら、育児休業を取得しようと心に決めていました。
大学時代に仕事と育児を両立しながら働く方々に出会った経験や、出産や育児がどれだけ大変で大切なのかを目にしてきた体験が大きく影響しています。
仕事においても、育児の経験は役に立つはず。
もし子どもを授かったら、俺も育休を取得したいな。
そうだね。育児は大変だけど、パパの俺たちにもできることはたくさんあるよね!
子どもと一緒に遊ぶパパが増える世の中っていいよね♪
よーすけが育休をとってくれて本当に助かっているし、長い時間家族で一緒に過ごせて嬉しいです!
参考にした書籍
◆『障害のある私たちの地域で出産、地域で子育て』
◆『決断。全盲のふたりが、家族をつくるとき』
◆『男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる 』
出産から3か月
ここからは、場面別、視覚障害者のパパだからこそ育児で直面した苦労と、私なりの解決策を紹介します。
視覚を補うためのグッズも記載しています!
さらにもっと良いアイデアがあれば教えてください♪
①授乳時のコツ
授乳はクリームちゃんとの大切なコミュニケーションの一つ。
ママだけでなく、パパもミルクをあげることができますが、見えないと苦労も…
クリームちゃんのお口がどこかわからず、哺乳瓶を持っていくのが大変。
そんな時には、クリームちゃんの口を自分の指で確かめてから哺乳瓶をもっていくことも一つの解決策ですが、私は迷わず見える人にサポートをお願いしています。
口に哺乳瓶がセットされた後は、クリームちゃんが自分で飲んでくれますので、哺乳瓶を支えるのに徹することができます。
飲んでいる最中なのか、お腹いっぱいなのかは哺乳瓶を通じて自分の手に伝わってくるので大丈夫。
また、ミルクが哺乳瓶からなくなった時は、空気口を通じて「すーすー」という特徴的な音が聞こえるので、それが終了のサインです。
ゲップは音が聞こえるからわかるよね!
②粉ミルクを作るコツ
我が家はキューブ状のミルクも試したのですが、コストパフォーマンス等を考えて、おっぱいでないときは粉ミルクを使っています。
粉ミルクに限りませんが、見えないと熱湯を注ぐことや計量が大変。
そこで、私の工夫とグッズをお伝えします!
内容 | 工夫していること |
計量 | 計量スプーンで粉ミルクを摺り切りに入れようとすると、取っ手の部分に粉が残ってしまいがち。衛生上、粉を手で確かめるわけにもいかないので、計量は妻にお願いして、1回分をケースに入れてもらうことに。 |
熱湯 | 哺乳瓶の口は小さいため、ケトルやポットから熱湯を注ぐことに不安が。そこで、ジョーゴを購入。注ぎ口は広く、挿入口は狭いので、安心して注ぐことができています。 |
量る | 哺乳瓶のメモリは見えないので、音声測りを購入。ミルクのそれぞれの重さを予め把握していれば、様々な量のミルクを自力で作ることができます。 |
私が購入したグッズ
●粉ミルクを入れているケース
レック(LEC) アンパンマン 2WAY ミルクケース (離乳食保存兼用) 3個アソート KK-181
●熱湯を注ぐときに使っているジョーゴ
●哺乳瓶のメモリまでをはかる音声測り
GRUS(グルス) クッキングスケール ボイスクッキングスケール 1gから3,000g計量可能 0表示(風袋引き) 機能 自動電源オフ機能 デジタルタイプ GRS301J
③おむつ交換のタイミングと替えるコツ
交換のタイミングを知るコツ
見えていると、おむつの表面におしっこのサインを確認し交換のタイミングを知ることができますが、見えないとそうはいかず…。
原始的ですが、においをかいだり、おむつの膨らみを触って確認しています。
また、泣き声も交換のタイミングのヒントになります。
おむつ替えのコツ
おしっこの時は、決まった場所を重点的に拭いて、おむつをはかせるだけですので慣れれば問題ありません。
しかし、うんちの時には、下着や洋服まで汚れている可能性も。
そんな時も、迷わず見える人の力を借ります。
においをかいで、うんちが出ていそうだったら、おむつ替えをバトンタッチ!
他にできることをします。
④お風呂に入れるコツ
泡がクリームちゃんの目や口に入らないように気を付けなければならないため、顔から上は妻の担当です。
しかし、体を洗ったり、一緒にお風呂に浸かったりするのは慣れれば見えなくても問題なし。
お風呂が大好きなクリームちゃん。
一緒に入るだけで、とても幸せな気持ちになりますし、楽しいです♪
声や仕草から、気持ちよさそうな様子が伝わってきますよ。
サポートを得てやっていること
他にも育児では、見える人のサポートをお願いしていることがあります。
それは、主に下記の二つ!
- 溢乳・吐乳(飲んだミルクを吐いてしまうこと)への対応
- ベビーカーをおすこと
まとめ
育児は、パパにも、見えないパパにも工夫次第で楽しく行うことができます。
私はネットで検索したり、自分で工夫をこらしたりしながら試行錯誤をした3か月でした。
このブログが次の視覚障害パパのために役に立ちますように。
そして、結婚や出産の背中を押すきっかけになれば嬉しいです。